現地採用けもの道

存在を証明

現地採用が活躍するための3要件

 現在、私は仕事において高いパフォーマンスを出しているという自負がある。少なくとも「一生懸命仕事に打ち込んで、成果を出しているよね」と言われるようになった。

 色々試行錯誤してきた中で、現地採用が活躍するために何が重要であるか思い返してみた。また、下記の3つのことはこれからの仕事の上でも気を付けていこうと考えている。

 

<目次>

①駐在員が入れ代わる好機を掴む

②業務に関する専門知識を蓄える

③社長や上司の支持を得る

 

①駐在員が入れ代わる好機を掴む

 現地採用の役割が変化する一番のタイミングは、駐在員の入れ替わりである。私は現地採用の3年目、いわゆるエース社員のサポートをしていた。多くの雑用を命令口調で突き付けられ、必ずしも良い思い出ではない。

 むしろ悔しい思いも多々あり、エース社員よりも自分が詳しい分野を作ろうと勉強をした。一緒に仕事をして、1年が経つ頃には、「ここは自分のほうが詳しい」という領域がポツポツできてきた。また、生意気にも「自分より年齢も役職も上の駐在員なのに、この程度の仕事?」という風に思うことも出てきた。

 そういった中、エース社員は日本へ帰国となった。もちろん、駐在員である以上、彼の後任も駐在員である。後任の駐在員は私よりも10歳以上、歳上であった。しかし、「この国でこの業務を」という点に限れば、私のほうが圧倒的に習熟度がある。

 仕事ができる人間、正確には仕事ができるヤツと会社に思われている人間には、難しい仕事がまわってくる。難しい仕事をこなすことで、知識と経験がつき、さらに仕事ができるようになる。また、難しい仕事をこなすには勉強やセミナーなど、インプットも必要である。

 雑用が減った。会社にとって重要かつ、他の者ができない仕事を任されている人間には、雑用を依頼しにくい。現地法人の社長からすれば、エース社員には雑用はさせず、できる限り稼ぐことに時間を使って欲しいと思うであろう。

 バックオフィス系(経理・総務・コンプライアンス)であっても、同様である。もうすぐ内部監査が来る時期に、能力が高い社員が単調な伝票入力をすることを望む社長はいないであろう。監査で漏れを指摘されて自分の責任を問われないよう、できる限りの対策を優秀な社員にしっかりやって欲しいはずである。

 現地採用は、最も給与の高い社員にはなれない。不可能でなくても非常に困難である。しかし、もっとも仕事のできる社員になるのは難しくない。

 

②業務に関する専門知識を蓄える

 上記のように、エース駐在員が抜けたタイミングで、穴を埋めるように活躍するのは、現地採用が重用される典型的なパターンの1つである。しかし、大前提として担当する仕事が、知識や知見がなければ高い成果を出せない仕事である必要がある。

 仕事は、労働集約型ではなく、知識集約型であることが望ましい。あるいは、築き上げた人間関係の広さや深さにより、仕事のパフォーマンスが変わるものでも良い。とにかく、会社にとって貴重な人間であることを示せる仕事を担当し、その仕事で成果を出したい。

 待遇の交渉をする際のみならず、様々な場面で、自分が会社にとって替えの効きにくい貴重な戦力であるという事実は、役に立つである。

 少し活躍することで、活躍するチャンスが訪れる。活躍することで、大きく活躍するチャンスが訪れる。もちろんこの逆パターンもある。仕事にはプラスのサイクル、マイナスのサイクルがあり、どちらのサイクルに入るかは、ほんの少しの差かもしれない。

 プラスのサイクルへの入り方は、様々な方法があると思う。その中で、仕事に関する専門知識を蓄えるのは、自分の意志次第で実行できる有効な手段である。日本人の現地採用は、会社によるOJT以外の教育の機会はなかなか期待できないからこそ、自学が重要なのである。

 

③社長や上司の支持を得る

 タイトルには、社長や上司と書いたが、日系企業の海外現地法人の規模からすると、通常は上司=社長となる。また、別の日本人上司がいたとしても、仕事の分掌や昇給などは、現地法人の社長が決めるケースが大半である。すなわち、現地法人の社長から支持を得る、もう少し具体的に言えば、仕事ができるヤツと思われるかどうかが、現地採用の命運を分ける。

 ここで勘違いしてはいけないのが、仕事ができるかどうかではなく、仕事ができるヤツと思われるかどうか、こそが重要なポイントである。なぜならば、上記のサイクル論と関係するのであるが、仕事ができるヤツと思われれば、重要な仕事を任される。重要な仕事を任された時点で、重要な仕事をしている社員になるし、重要な仕事をすれば実力も伸びるのである。

 そうしているうちに、社長から仕事ができると思われているに過ぎない社員でも、いつの間にか仕事ができる社員に変わるのである。机上の空論かと思うかもしれないが、雑用に仕事の時間の多くを割かざるを得ない社員と、会社の花形の仕事を任されている社員、どちらが仕事のスキルが伸びるだろうか。

 上司に好かれること。ゴマをするというと、嫌なイメージがある。しかし、人に好かれることも一つのスキルである。少し仕事ができる社員は凄く仕事ができる社員に、仕事ができない社員は平均的な社員と評価されるのである。この印象値による評価の変動は、マイナスの方向にも影響を与える。できる限り、プラスの影響を作りたい。

 

 結論は何も特別なことではなく、スキルが育ちやすい職場を選び、会社外でも学習し、社長に気に入られ、チャンスをもらう。単に王道でしかないが、定まったキャリアがない現地採用だからこそ、したたかに戦略を練るべきである。