鼻が折れると鼻血が出る

ブログ名で検索すると医療機関が鼻血の対処法について書いたHPがヒットします。タイ就職・鼻血にて検索下さい。

タイ現地採用待遇の具体例と解説(その1)

 求人サイトを見つつ、待遇や業務内容について解説していく。自分も現地採用の身なので、こういったサイトを見て色々考えるのは楽しい。

 

<目次>

①営業(物流系)、6.57万バーツ、英語:日常会話

②営業(工業用工具)、5万バーツ、タイ語:日常会話

③営業(不動産)、6万バーツ以上+インセンティブ、語学不問

④営業(工業用ガス)、6万バーツ以上、英語またはタイ語:日常会話

⑤営業(自動車部品)、7万バーツ+残業代、英語:必要(基準不明)

 

①営業(物流系)、6.57万バーツ、英語:日常会話

https://kamome.asia/job_search/81449

 タイは製造業の国である。多くの日系企業が製造拠点を構え、国内市場だけでなく海外市場へ製品を輸出している。毎年増え続ける輸出に対応するため、物流会社は業務および投資を拡張し続けている。もっとも、競合も多く、規模を拡大しコストダウンを図るか、専門性に特化しなければ生き残りが厳しい市場となっている。

 実は現地採用にとって物流というのは狙い目かもしれない。現地採用は原則、その国で雇用されるため駐在員と違い異動が原則としてない。これは良いともいえるが、新しい環境でチャレンジする機会がないともいえる。しかし、物流は国際基準に則って業務を行うため、国が変わってもベースとなる知識は共通している。すなわち、他の国に転職しやすい。

 本題である求人内容だが、一言で言うと「良い求人」であると思う。未経験可、英語も日常会話以上という緩い要件とし、幅広く募集が来るように記載している。そして、給与も倉庫営業が6.57万バーツ、貨物営業が67万バーツと具体的に記載している。ポテンシャル重視で若手層を取りたいことが求人からうかがえる。

 尚可としている条件の人物を雇用するには、上限が7.5万バーツまで記載してはどうかと思うが、予算の上限があるのかもしれない。社内でポションごとにある程度の給与レンジがあり、それに則って募集をしている可能性が高い。

 求人の記載内容を見る限り、人事制度がしっかり整っていそうである。こういった企業の場合、タイ人と現地採用の日本人が同様の評価・昇給基準が適用されているケースが多い。中央値が4%程度、パフォーマンスによって26%の昇給となり、現地採用日本人の場合、普通にまじめに働いていればレンジの中でも上位の昇給となるであろう。

 募集要項からの推測にすぎないが、人事制度に加えて、福利厚生も整っていそうである。こういった企業に就職した場合、大抜擢されて給与が大幅増とはなりにくいが、海外就職が大失敗となるリスクが低い。会社側がきちんと現地採用の日本人への配慮を考えているからである。

 

②営業(工業用工具)、5万バーツ前後、タイ語:日常会話

https://kamome.asia/job_search/78266

 まず、5万バーツ前後とは首をかしげる記載である。最低賃金が5万バーツなので、5万バーツ以上と書くべきであろう。

 募集要項から求める人物像がしっかり見えてくる。若い日本人で、日本人しかできない細々とした業務をやってくれる人を最低賃金で募集したいのである。ある意味、清々しい。

 タイ語日常会話以上ということは、タイですでに働いている人を想定していると思われる。大学でタイ語専攻の人間を5万バーツの最低賃金で雇うのは厳しい。また、通常の職種の場合、5万バーツが最低賃金なので、5万バーツの提示ではなかなか転職して来ないであろう。

 おそらく、コールセンターや日本語教師など、最低賃金が5万バーツを切ることが許されている職種からの転職を狙っていると思われる(あるいは最低賃金以下の違法就労の職場)。もっとも、何も考えずに、「安くて若い人」といった要望である可能性もわずかにある。

 5万バーツ前後(ご経験にあわせ応相談)というのは、下手な書き方だと思う。それならば、5万バーツ以上(ご経験にあわせ応相談)の方が見え方が良い。もしかすると、5万バーツ以下の不法な賃金で働かせることを狙っているのかもしれないが。

 この企業に限らないが、昇給制度ありと書いている企業は一体何を考えているのだろうか。昇給制度が一切ない企業など、存在しないのではないか。

 

③営業(不動産)、6万バーツ以上+インセンティブ、語学不問

https://kamome.asia/job_search/91126

 タイの不動産業界は日本同様、ブラックである。労働許可証を支給しない、給与が(本来は違法である)5万バーツ未満など、ざらであった(今もあると聞く)。この求人は、基本給が5万バーツで住宅手当が1万バーツなので、6万バーツからのスタートとなる。インセンティブも出すという。金銭的な待遇自体は悪くない。

 しかし注意すべきなのは週休1.5日であることである。毎週水曜日及び選択休暇(隔週)とあるため、週末に友人と旅行に行くなどの生活は厳しいであろう。タイは労働法的には週休1日で問題ない国である。多くの求人案件は、週休2日であるため、あまり意識はされないが、要注意である。特に製造系は週休1日+隔週休みの待遇が少なくない。

 この求人がブラックだとは特に思わない。語学ができず、未経験であるが、熱意があり、そこそこの給与が欲しい人にフィットする案件ではなかろうか。また、不動産の販売にあたっては、対人能力に加えて、土地勘や法制度なども武器になる。経験をしっかり積んでパフォーマンスを上げていきたい人に向く求人ではなかろうか。

 

④営業(工業用ガス)、6万バーツ以上、英語またはタイ語:日常会話

https://kamome.asia/job_search/87287

 現地採用にドライバー+車が付くのは珍しい。ドライバーが付くと、移動の際に睡眠がとれるため、疲れ方が全く違う。また車の中で語学勉強なども容易である。

 語学が英語またはタイ語の日常会話しか求められず、営業経験は問われるが、業種はなんでも良く、飲食・ゴルフ等の接待を求めている。察するに、未経験でも良いから人付き合いができる社交的な若手が欲しいのであろう。

 交渉によって7万バーツくらいにできれば、隔週休2日制、アユタヤ勤務であっても検討に値するのではないであろうか。なお、接待費用(特にゴルフ)が全額会社負担かどうかは、要確認である。

 郊外勤務の場合、この求人のように昼食支給、あるいは社員食堂が利用可能な場合が多い。おそらくタイ料理であろうし、そもそも自費でタイ料理を食べても数十バーツであるため、あまり重視すべきポイントではない。

 

⑤営業(自動車部品)、7万バーツ+残業代、英語:必要(基準不明)

https://kamome.asia/job_search/91584

 かなり好待遇である。書き方から7万バーツ以上も出す準備があり、残業代支給、ボーナス56ヵ月と、独身ならば一切金銭的に不自由しない金額である。スカイプ面談も可としており、求職者への配慮もうかがえる。

 やや気になるのは、英語が必要条件と書かれており、ビジネスレベルを求めているのか、日常会話で良いのか分からないことである。業務内容を見る限りでは、高度な英語は必要無い可能性が高い。

 こういった案件は積極的に受けてみるのが良いのではないだろうか。海外現地法人の社長は採用業務に関しては、素人である。日本では営業や技術職などを長年経験しているものの、人事経験が長いプロではない。日本人の現地採用の特徴として、人物本位になりやすいように思う。海外現地法人の社長と馬が合えば、スキルが高い他の候補者を差し置いて内定となるケースも少なくない。

 一見すると、不合理な採用に見えるかもしれない。しかし、性格はチームのパフォーマンスを左右する重要な要素である。一生雇用し続けることが前提の大手企業の新卒採用と異なり、日本人現地採用は、今の部署で34年高いパフォーマンスを出してくれれば御の字なのである。したがって、今のメンバーとの相性(もっと言えば現地法人の社長が好感を持つか)で決めてしまうことは、それほど不合理ではない。

 

 昔は現地採用といえば、海のものとも山のものとも知れない候補者が多かったと聞いている。しかし、今や現地採用もキャリアであるという論説が流布している。現地採用がキャリアとしてどのような評価を受けるのかは、未だ賛否両論のようである。しかし、求人の変化はここ数年でも明らかである。

 好待遇な求人、職務内容が高度な求人、候補者に求める要件が非常に高い求人、明らかに多様化している。ありきたりな結論であるが、どんな仕事でどのようなスキルと経験を得るかが重要であろう。