鼻が折れると鼻血が出る

タイ就職やキャリア論など。現地採用の待遇と地位の向上にほんの少しでも貢献したい。

現地採用の就活はタイミングによる運ゲー要素が多い

【タイの転職市場の分析】

 おそらくタイは世界でもっとも現地採用日本人の職探しが盛んな国であろう。いったいどのくらいの人数が職を探しているのだろうか。

 2018年11月20日号のDACO(バンコクのフリーペーパー)にて、現採白書という企画があった。その中で、JACリクルートメントへの取材があり、自社のタイにおける日本人転職の年間平均成約数は80名、平均給与は9.2万バーツ(月)であることが述べられてる。

 タイにおいて、売上げ、日本人社員在籍数ともに、首位のパーソネルコンサルタントに次ぐ企業であるJACリクルートメントの仲介数が年間80名程度なのである。バンコクには零細含め、40社以上の人材紹介がある。しかし、売上げの大半はタイ人の人材紹介によるものである。

 おそらく、タイにおける年間の日本人転職者数は1,000名程度〜多くて1,500名ではないかと推測される。一ヶ月でいえば、100名前後である。そうすると、30代法人営業職のように、特定のカテゴリー分けをすると、その属性でのマッチングは数件しか行われない。比べる意味がないかもしれないが日本における転職者数は年間300万人である。

 すなわち、たまたま自分と同じ属性の優秀な転職志望者が数名、時期が被っただけで、一気に自分の市場価値は暴落する。逆に言えば、良い時期にあたれば、市場価値以上の待遇を得るチャンスがある。

 変な例だが、100人同士で全員カップルを成立させるより、5人同士で全員カップルを成立させたほうが、カップル間の格差が生じやすい。

 自分の市場価値が自分の目に見えない、そしてコントロールできない要素で大きく変動していることを把握すべきである。

 

【人材会社目線】

 人にもよるが人材会社は丁寧なアドバイスをしてくれるところも少なくない。どの業界がいいか、A社かB社のどちらが自分に合うか、丁寧に考えてくれるかもしれない。

 しかし、「今は時期が悪いので数ヶ月遅らせましょう」とは言ってくれない。彼らも商売なのである。

 また、人材会社は企業からフィーをもらっている。前述した格差のあるマッチング、すなわち市場価値が高い人が安い給与で転職する、あるいは市場価値が低い人が高い給与で転職することは当然起こりうる。こういった時には、人材会社は企業に味方する。なるべく良い顧客には損なディール(市場価値が低い人が高い給与で就職)をさせたくない。また企業側の方が、求職者よりも転職市場に関する知識・経験を多く持っている。

 よって、格差のあるマッチングが置きやすい現地採用の就職事情は、企業側に有利、求職者側に不利に働きやすい。

 バンコクの日本人現地採用の人材市場は極端な売り手市場でも、書い手市場でもない。しかし、一定の割合でやたら高スペックな人材が低い給与でも良いからタイへの転職を希望するケースが見受けられる。

 

【求職者側が気をつけること】

「アジアに就職することに決めた。2週間の有給で仕事を決める!」

 このような決断は、人生において正しい決断となるかもしれないが、現地採用の転職における戦略として全く正しくない。

 ゆっくり、丁寧に情報をかき集めるべきである。日本の大手サイトのように転職候補先が何十、何百もならぶ状況とは根本的に異なる。わずかな砂金を拾い集めるつもりの意識の方が良い。複数の人材会社をまわり、担当者を丁寧にせっついて情報をもらうのである。残念ながら、待ちの姿勢では、どうしても得られる求人情報は少なくなる。

 具体的なポイントは、転職の期間を長めに設定すること、待遇の最低ラインを高めに設定することである。

 自身の市場価値の外部要因による変動を知ることはできないし、予測もできない。しかし、2〜3月にわたり、転職情報を収集したり、実際に企業とスカイプ面談をしたり、人材会社の担当者とコンタクトを取り続ければ、自身の相場がおおよそ見えてくる。不当に自身の市場価値より低い待遇で内定承諾書にサインするリスクを避けることができる。

 また、転職活動の期間を長くとれるなら、人材会社が推奨する目安の待遇より、3割高い金額を目標とすべきである。人材会社は転職させるのが仕事なので、多少の妥協を求めて、少し低めの金額を告げてくる。さらに、自身の市場価値が高くなった時に就職することを前提に待遇を決めるのである。最低2割、できれば3〜3.5割増しで考えても良いであろう。

 「現職の退職にともない、急ぎで人材を取りたいと思っていて、内定を出したと思ったら辞退された」こういったシュチュエーションに出会えば、年収交渉はあっさりいくのである。また、自分と同じ属性の優秀な転職志望者が一時的に増えることがある一方、企業が自分のような人材を採用したいが、たまたま自分と同じ属性の人材がタイの転職市場に少なくなっていることもありうる。

 現地採用の就職は、100人同士ではなく、5人同士のカップリングである。適切でないマッチングが発生することは避けられない。状況を理解して、自身が有利となるマッチング(内定)を目指したい。