鼻が折れると鼻血が出る

鈍器で顔を殴れば鼻は折れるし、誰かのために行動すれば社会は変わる。仕事も執筆も想いを込めて。

バニラビーンズのレナを知っていますか?

「楽曲はいい。プロモーションにも力を入れてる。売れるためにこれ以上すべきことが分からない。」

 5年前、アイドル評論家はデビュー6年目のバニラビーンズをこう評した。それからさらに5年の月日が経ち、2018年11月、バニラビーンズは解散した。

 バニラビーンズは「北欧の風に乗って」をキャッチフレーズとする二人組のアイドルである。レナ、リサの二人組グループであるが、主にレナについて語りたい。

 2014年、以下のレナのツイートが話題になった。

給料日前の晩ご飯なう♡
98円のベビースターラーメンをお湯かけて食べるなう!

 アイドルの給与は一部のスターを除いて低い。活動期間の大半、バニラビーンズの給与は月に5万円であった。活動期間の中期は、事務所がプロモーションに力を入れたため、バイトをする時間がなく、レナは経済的に苦しい状況であった。月末の給与前はだいたいベビースターラーメン(98円)を食べていた。また、日によってはファンから差し入れされた"かりんとう"のみしか食べていないこともあった。

 一方、相方のリサは父親が事業家であり、誕生日プレゼントにベンツをもらうような家庭であった。レナが、ベビースターラーメンを食べていたある月末、リサはキャビアを食べていた。しかも、独別な食事としてではなく、冷蔵庫に常に入っているプリンを食べるような感覚でキャビアを食べている。

 レナは自身がアイドルであったが、アイドルおたくでもあった。最上もが、東京女子流、Negiccoなど多くのアイドルと親交があった。アイドルを愛し、アイドルに愛されたアイドルであった。

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 レナはバニラビーンズとしての11年、どのような想いで過ごしたのだろうか。デビューした10代後半からの11年は、人生の大半といっても過言ではない。

 自分より1まわり、2まわり年下のアイドルがブレイクしていく様子を間近に見続けた11年。相方のセレブ生活を見続けた10年であった。
(バニラビーンズの初期メンバーはレナとリカ。デビューの1年後にリカが脱退し、リサが加入している)

 バニラビーンズの活動期間の終盤は、少しずつイベントの司会の仕事なども入り、月給は5万から、生活に困らない程度には上がった。しかし、ブレイクには至らず、ライブのチケットは売れず、解散に至った。

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「成功するまで続けたから成功した」

 私はこのようなニュアンスの成功者のセリフが名言として取り上げられるとき、心のどこかに針がチクリと刺さるような痛みを覚える。

 イチローと同じ努力をできる人は稀である。そして、イチローと同じ努力をしてもイチローにはなれない。1人の成功者の影には、どれだけ続けても夢には届かなかった幾多もの人生がある。特にアイドル業界は、努力さえ続ければ夢が叶うという台詞が最も適さない業界の1つであろう。

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 さて、レナの話に戻る。レナはバニラビーンズ解散後も芸能界で仕事を続けている。いや、続けることができている。11年間のアイドル活動で得た人脈が活かし、ラジオバラエティや各種のイベントで活躍している。

 レナのトーク力や司会としてのスキルの安定感には定評がある。イベントにて、他のアイドルに原稿が配られる中、バニラビーンズは原稿をもらえなかった。おのずとフリートークのスキルが磨かれたという。

 努力を続ければ当初の夢は叶わなくとも、努力し続けた場所で別のかたちで蕾が開くこともある。

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 海外で就職し、5年がたった。レナのように10年以上、思うような成果が出なくても、海外で働き続けることは私にはできない。見切るならば、早めの方がいい。努力し続ければ成功するという言葉は毒であるとさえ思っている。

 しかし、それでも、レナが芸能界の片隅で、ひっそり、そしてしっかり活動を続けているのを見ると胸にこみ上げてくる何かがある。


 さて、はてなブログの今週のお題がアイドルをつづるであったため、いつもと毛色の違う記事になった。最後に、レナの最近の写真を本人のインスタグラムよりいくつか、引用させていただく。