鼻が折れると鼻血が出る

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給与がタイバーツで支払われることのリスクを把握しよう

タイバーツと円の為替動向について


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 上記は直近5年分のバーツ円の相場をグラフにしたものである。

 2018年初から現在(2019年6月7日に当記事執筆)、1バーツは3.3〜3.5円の比較的狭いレンジで安定して推移している。足元、バーツは円およびドルに対して高めで安定していると為替相場では評されている。
 一方で、2015年〜2017年末はそれなりの為替変動があった。2015年6月に1バーツは3.7円であったが、2016年7月には1バーツは2.9円を切っている。約一年で22%ほどバーツが下落したことになる。その後、2017年末には1バーツは3.4円代まで戻している。1.5年かけて17%ほどバーツは上昇した。

 タイは途上国および中進国の中では、通貨が安定しているほうである。しかし、それでも10%程度は容易に変動する。円換算した時の給与が為替レートによって変動するという事実は頭に入れておきたい。

 ちょうど通貨が下落し始める時期に就職した場合、昇給を毎年しても、円換算での給与は減り続けるという事態が起こる。私もその悲劇を経験をしたが、なかなか精神的に辛いものがあった。

タイバーツの安定性

 もっともバーツはミャンマーチャット、ベトナムドン、インドネシアルピーフィリピンペソなど、他の東南アジア諸国の通貨に比べると格段に安定している。

 タイは財政が健全である。観光や輸出※で外貨を稼いでおり、十分な外貨準備高を持つ。財政赤字および国の借金が少ない。また、ばらまき政策により借金をむやみに拡大させることがないよう、財政規律が法律でしっかりと定められている。
※ここ2ヶ月は輸出が不調だが、長期的に続くものではないと私は見ている。

 こういった背景があり、昨今アメリカの金利引上げにより、東南アジアから資金流出がおき、東南アジア各国の通貨安が引き起こされた中、バーツは安定していた。

 東南アジアの他の通貨と比べると大きく下落するリスクは低いが、ドルや円と異なり、所詮バーツは経済規模の小さな国の通貨であり、潜在的には下落のリスクがある。

以前、こちら(内定後にすべき4つのアクション - 鼻が折れると鼻血が出る)でも書いたが、「親への仕送りや奨学金など、日本円での支払いがあるため、バーツが下落した場合には、昇給や賞与の査定において多少考慮して欲しい」と希望を伝えておくのも手であろう。

やはりバーツでの給料受取りはリスク

 繰り返しになるが、タイは経済規模の小さな国であり、通貨が下落するリスクは、日本円に比べると格段に大きい。タイで暮らしていると、バーツ安の影響は輸入品が高くなる程度で、それほど大きなものではない。

 しかし、日本円ベースでの支払いがあれば、バーツ安によって支払いの負担が増えることになる。また、日本への転職の際に、円換算した年収が低くなることもデメリットである。例えば年収が150万バーツの場合、1バーツ=3.5円では年収525万円、1バーツ=2.9円では年収435万円となる。日本本社の人事担当者は、今の為替で判断するであろうから、年収の“見え方”が大きく異なってしまう。

 タイの現地採用がバーツ建てで給与をもらうことは、ほとんどの場合、避けることができない。そこは受け入れつつも、経済規模の小さな国の通貨で給与をもらっているという事実は心に留めておきたい。