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タイの寺院における服装とマナーをタイの僧侶に聞いてみた

 既に色々とインターネットに情報が書かれているが、なぜそういった服装の制限やマナーがあるのかという理由についてはあまり言及されていない。僧侶のコメントを紹介したあと、このあたりも解説したい。

 僧侶のコメント(結論)

・タイの寺院に行く際、どのような格好を避けるべきでしょうか。

 女性は、ノースリーブなど袖の無い服装や、ミニスカートなど裾の短い服装を避けてください。男性は特に気にする必要はありません。

・サンダルは避けるべきですか。

 特に問題ありません。僧侶もサンダルですし、寺院に参拝するタイ人もだいたいサンダルです。

・観光庁のホームページに男性も半ズボンはダメと書いてありましたが、大丈夫でしょうか。

 寺院に来るタイ人男性の多くは、Tシャツ、半ズボン、サンダルです。気にしなくても良いと思います。

 ただ、祭典中の王宮や、ワンプラ(仏教行事のある日)、出家式など、ラフな格好が好ましくない日や行事もあります。

寺院を観光する際は男女ともにノースリーブやショートパンツ、やぶれたジーンズなど露出の多い服装は避けましょう。
エチケット | 【公式】タイ国政府観光庁

・男性も、タンクトップなど肩が出る服装は好ましくないでしょうか。

 特に問題ありません。そもそも、僧侶も肩を出してます555(555=タイ語で笑いを表す表記)
 ただ、だらんとしたタンクトップは行く場所が寺院であるか否かに関わらず、礼儀正しい格好ではないと個人的には思います。

・女性が気をつけるべきことはなんですか?

 タイの僧侶は女性に触れることが戒律で禁じられています。禁欲と節制を重んじて日々修行をしています。性的な要素があらわになる服装は避けて欲しいです。香水などもあまり好ましくありません。

・気をつけるべきマナーはなんですか。

 大きな声で騒ぐ観光客を見かけます。寺院はタイ人にとって神聖な場所ですし、わたしたちの修行の場です。ぜひ厳かな気分でいらっしゃって下さい。
 もっとも、騒いでいるのが、タイ人の若者グループのこともあります。恥ずかしい限りです。

 上記が僧侶4名から聞いた答えをまとめたものである。次に、タイにおける仏教の重要性や僧侶の生活について解説したのち、私なりの補足をしたい。

タイの三色旗とVOGUE事件

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 タイの三色旗の色はそれぞれ、赤は国家、白は仏教、青(紺)は王室を表す。そして、国家を表す赤は、血の象徴であり、仏教と王室を堅持するために流されてきた血を表している。すなわち、仏教と王室はタイの2大アイデンティティーなのである。

 去年、タイ人のタイの国旗に対する価値観を浮き彫りした事件があったので、紹介したい。

 2018年10月、ファッション・ライフスタイル雑誌であるVOGUE(ヴォーグ)はフェイスブックに、下記の写真を投稿した。

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 この靴の写真に対してタイ人から非難が殺到した。なぜだろうか?

 青、白、赤の三色はタイの国旗を想起する。そして、この配色の靴を履くということは、タイの国旗を足で踏みにじる行為であるとタイ人は捉えた。

 若者を中心に、この画像はFacebookでまたたく間に怒りとともに拡散された。若い世代含めて国旗という自国のアイデンティティーに、強い誇りを持っていることに私は感嘆した。

 前述の通り、短パン・Tシャツ・サンダルで寺院に参拝しても止められることはほとんどないであろう。しかし、もしあなたがタイで働いている、あるいはタイ人の友達がいる場合、Facebookに投稿する寺院での記念写真は、タイ人およびタイに敬意をはらった写真にすることを推奨したい。

 両手を上げる(インスタ映え?)のではなく、合掌しよう。服はポロシャツなど少しだけでもフォーマルな服装にしよう。もしタイという国が好きならば、敬意を払って欲しい。きっとタイ人からの印象がよくなるはずである。また、タイに敬意を払えば、本当の意味でのタイ人の魅力を知る機会が増えるはずだ。

 次は、僧侶の生活について紹介したい。僧侶の生活を知れば、きっと女性は寺院に行くときの服装に関する意識が変わるであろう。

タイの僧侶の生活

 タイにはビク(成年僧侶)とネーン(少年僧侶)の2種類の僧侶がいる。ネーンは10の戒律を守り、ビクは227の戒律を守る。すなわち、大人の僧侶に対しては、227の行ってはならないことが定められている。

※全くの余談であるが、20歳未満の僧侶がネーンであると説明されるが正確な理解ではない。20歳以上しかビクになる資格はない。しかし、20歳以上の僧侶が全員ビクというわけではない。成年であっても短期出家はネーンとして扱われることもあるし、極端な例は10代で出家して、80歳までネーンであった僧侶もいた。あくまで20歳以上というのは、ビクになるための1つの要件に過ぎない。もし仏教の行事にて、サンカティ(สังฆาฏิ、下記写真参照)を身に着けていない20歳以上の外見の僧侶がいれば、それは成年のネーンである。ネーンはサンカティを身につけることができないからである。成年の少年僧侶(ネーンの訳語)とは、矛盾する言葉だが、正確に対応する日本語がないので仕方がない。ハイパーマニアックな話であるが、他の日本語のウェブにて、ネーンの説明が若干不正確であったので、ここに記しておきたい。

 

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 さて話は戻るが、227の戒律(パーティモッカと呼ばれる)のうちのいくつかを紹介したい。例えば以下の行為が禁止されている。

・異性との接触
・自慰行為
・午後の食事
・飲酒
・殺生(虫など含む)
・音楽

 異性(すなわち女性)との接触の禁止は厳格な基準にて守られている。例えば、女性から物を手渡しにて受け取ることも「異性との接触」に該当する。女性から食べ物の施しを受ける際は、托鉢用の鉢など特定の物を介する必要がある。

 他には窃盗や嘘の禁止など、法律やモラル的にもだめであろう戒律もあれば、土を掘らない、綿入りの寝具を使わないなど、独特な戒律もある。

 なお、タバコは戒律で禁止されておらず、肉類の飲食も制限はない。僧侶はタバコも禁止と書かれている情報もあるが、227の戒律の中に喫煙に関する事項はない。もっとも、タバコ自体がタイの社会において(かなり)否定的であるので、僧侶の喫煙は好ましいとは思われてない。

 戒律に対する厳格さは、タマユット派、マハニカイ派など宗派によっても異なり、寺ごとにも違う。しかし、総じて僧侶は世俗のしがらみや煩悩を断ち切るべく、様々な禁止事項のもとで、生活しているのである。

改めて、寺院における好ましい服装について考える

 われわれ外国人にとっては、タイの寺院は観光地である。しかし、タイ人にとって寺院は神聖な場所であり、仏教はタイ人のアイデンティティーである。

 そして、僧侶にとって、寺院は生活と修業の場所である。普通に観光していれば気付かないであろうが、実は敷地内には寺院に隣接して僧房(クティ)と呼ばれる僧侶の住居が併設されている。

 寺院とは、そういった場所である。これが私が冒頭で、敬意を払った服装で寺院に参拝して欲しいと述べた理由である。

 さらに、タイの僧侶は短期出家者を含めると半数程度が20代〜30代の若手僧侶である。その年齢の男性が、異性との接触を断って日夜、修行をしているのである。女性は露出の多寡という基準ではなく、性的な喚起が起きない服装をお願いしたい。レギンスや、体のラインを強調するドレスなどは、露出が少なくてもNGである。

おわりに

 タイ人が敬虔な仏教徒であることは広く知られているように思う。しかし、タイの僧侶の生活はあまり知られていないのではなかろうか。

 なお、余談であるが、観光地の寺院にはそこで修行している僧侶と、他の寺から観光に来た僧侶がいる。後者は、写真を撮りまくっているのですぐ分かる。SNS(主にFacebook)は僧侶の数少ない娯楽であり、実は僧侶はセルフィー含め写真が大好きである。僧侶が写真を撮って欲しそうな雰囲気であったら、男性の方はぜひ(その僧侶の携帯にて)写真を撮ってあげて欲しい(笑)

 それはさておき、、、この記事により、少しでもタイの仏教や僧侶について、あなたの理解が深まれば、私としては嬉しい限りである。