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海外就職が決まったら、できる限り日本本社を訪問しよう 

 日系企業の海外現地法人にて、現地採用の内定が出れば、いよいよ海外就職である。やるべき手続きは多い。忙しいとは思うが、現地法人への就職だとしても、日本本社にはできる限りの回数を訪問すべきである。その利点を説明したい。

本社を訪問する4つの利点

 下記の1〜3については想像し易いと思うため簡易な説明に留める。4について、掘り下げて説明したい。

 まず1つ目の利点は業務知識の習得である。

 通常、現地法人にて研修が行われる。そこで、自分が取り扱う製品やサービスに関する知識を得る。したがって、日本本社から研修を受ける必要はない。

 しかし、予め日本にいるうちにある程度の知識を得ておけば、入社するまでの間に自習も可能であるし、現地法人に着任してからの知識の習得もスムーズである。また、本社の方がその企業のサービスや製品に精通した人がいる。

 給与が出るのは現地法人への入社後であるため、日本本社で何かを習っても無給である。だからこそ、自分から本社への訪問を積極的にお願いすれば、企業はあなたのことをモチベーションが高い優秀な社員とみるであろう。

 2つ目の利点は、機密(重要)情報の取得である。

 本社の社員とのコネクションを継続して維持できれば、現地法人からは手に入らない情報を得ることができる。

 入社前の訪問だけではなく、プライベートの帰国であっても、定期的に本社に顔を出したい。本社のキーマンとの関係を築ければ、現地法人の社長の退任の情報(または前触れ)、タイからベトナムに支店を出すことを検討しているなど、まだ決定されてないが自身のキャリア戦略に大きな影響を与える情報が手に入るであろう。

 「本社はあなたのことを数年後の社長(あるいは役員)として見ている」などの情報も手に入るかもしれない。少なくとも、本社が自分をどう評価しているのかという情報は現地採用であっても常に把握しておきたい。

 3つ目の利点は自社の製品あるいはサービスの将来性など、自らのビジネスに関わる専門的な知見の入手である。

 海外の現地法人は、業務に関する裁量を持つとはいえ、本社の指示に従う立場である。深い思考を抜きに、とりあえず本社の指示どおりにノルマをこなすマインドの現地法人も少なくない。

 もし、あなたがまだ30〜40代であるならば、ビジネスパーソンとしての期間は長く続いていく。自社のビジネスを取巻く環境、そして将来の予測を自分なりに確立しておきたい。こういった分野は、現地法人ではなく、日本本社の方が深い知見を持っている。

 これらの知識あるいは本社の見解は、海外でのビジネスにおいても役に立つであろう。また、自分の業界が傾く際に成長産業に転職するなど、正しい(あるいは悔いのない)キャリア選択をしやすくなる。

 4つ目の利点は本社との関係構築である。現地法人と本社が協働して取り組むべき業務は増えている。これらの業務をこなすためには、本社の様々な部署との連携が必要となる。以下、詳細を説明したい。

増加する現地法人と本社の協働

 国境を越えたグローバルなビジネスは日々拡大している。そして、ビジネスの拡大を追いかけ、様々な法制度が作成あるいは修整されていく。

 例えばタイにおける日系企業の現地法人では、移転価格税制への対応が現在、急務となっている。

タイにおける移転価格税制への対応がいよいよ義務化されます。
https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2018/10/thailand-newsletter-oct2018.html

 この税制の趣旨を簡単に言うと、「タイで作った製品を親会社に相場より安く売ると、タイ現地法人の利益が減る。タイに納める税金が減るのは、けしからん。その場合は、課税させてもらうよ」というものである。※正確な説明ではないが、容赦願いたい。

 なお、この考え方は新しいものではない。タイの税務署(正確には歳入局)は、不当に安い金額での売買およびサービス提供に対して、金額を修整する権限を従来より持っている。すなわち、100円で売った商品の適正価格を200円と認定し、差額の100円分の利益に対する税金を徴収することができる。

 しかし、上記の法律の施行により、いままでより親会社・子会社間など、資本関係のある企業同士の取引価格が、より厳しくチェックされることが見込まれている。

 適正金額で売買しなければ課税リスクがあるのは、日本も同様である。100円が適正金額の商品を200円でタイ現地法人から買えば、100円分の利益が日本本社からタイ現地法人へ移転することになる。日本の税務署は日本本社に対して、不当に高い金額で製品を買って法人税を減らしたと見る。これも税務リスクである。

 すなわち、タイから日本への商品販売(あるいはサービス提供)に際し、価格が安すぎればタイ側に課税リスクがあるし、価格が高すぎれば日本側に課税リスクがある。実務において、どちら側の税務リスクもゼロである価格を算出するのは困難であり、リスクの分担が問題の本質となる。

 単に製品を販売するだけであっても、2ヶ国の税務リスクを検討しつつ、タイ現地法人と日本本社の双方のリスクの合計を最少化するための価格を協議しなければならない。

 タイの現地法人のビジネスがタイだけで完結することは少ない。むしろ日本のみならず、東南アジア全域が視野に入ることもあるであろう。

 あくまで、移転価格税制は1つの例であるが、現地法人と日本本社が協力し合って解決すべき課題は現状でも多いし、今後もさらに増えていくであろう。

おわりに

 海外で働き始めると、なかなか本社を訪問する機会はない。しかし、できる限り現地採用であっても、いや現地採用だからこそ本社とのコミュニケーションを大事にしたい。

 本社への訪問を頻繁に無理なく行う最善の方法は、実家から遠くない場所に本社を持つ企業に入社することである。しかし、それを優先軸にして転職活動を進める人はいないであろう。私も給与の額よりも重要と言うつもりはない。ただ、用事で本社の近くに寄る時は、面倒に思っても訪問してコミュニケーションを取ることを推奨したい。

 本社も歓迎してくれる。本社の人間にとっても、海外事業の話を生で聞くチャンスであり、感謝もされるであろう。

 タイ現地法人で採用された以上、本社の目ばかり気にするのはマイナスでしかない。駐在員の中には、本社の評価しか気にしない人間もいる。タイ人は気持ちに敏感であり、そういったスタンスはすぐにばれる。タイ人の信用を失い、業績が下がり、結果として本社からの信頼すら失うケースもある。

 しかし、現地法人は、グループ会社の一角であり、最終的に目指すべきはグループ全体の利益であることには間違いない。グループ全体を見る目を養うためにも、日本本社からの情報は大切にしたい。そして、現地法人と日本本社の双方からの信頼を得てこそ、真の意味でのグローバル人材である。