タイ現地採用の高待遇求人といえば、高度な製造業の技術者、あるいは弁護士や米国公認会計士などの専門資格保持者に限るという印象がないだろうか?
実は、営業系の職種においても20万バーツの高待遇の求人案件がある。すなわち、多くの現地採用へ高待遇への道が開かれているのである。
✎はじめに
現地採用には金銭的な悩みがつきものである。しかし月収20万円バーツに到達すれば、金銭的な悩みからはかなり解放される。仮に賞与を4ヶ月とすると、為替レートにもよるが年収は1000万円を越える。ここまで稼げば、リクスをとって現地採用として海外就職したリターンは十分であろう。
保障の手厚い民間の医療保険に入ることができる(会社側が用意してくれる可能性も高い)。スクンビットにある立地の良いコンドを借りる、あるいは買うこともできる。子供をインター校に行かせることもできる。独身であるならば毎晩遊び歩くこともできる。
まず、月収20万バーツの高待遇求人案件を2つほど見ていきたい。なお、今回の記事は、下記の続編にあたる。
現地採用として月収10万バーツ稼ぐことに壁はあるのか。個人的には、壁というほどの大きな障害はないが、戦略的にキャリアを築かなければ到達が簡単ではないラインであると考える。
タイ現地採用の10万バーツの壁および結婚に関する考察 - 鼻が折れると鼻血が出る
✎月収20万バーツの高待遇求人紹介
自動車の新モデル開発や新工場立ち上げの情報を世界中の拠点から収集をしつつ、自動車メーカー、そこに卸している部品メーカーに営業をかけて頂きます。
【給与】20万バーツまでを想定中(ご経験に応じてそれ以上も検討可能)
【タイ】営業職の求人(仲介募集)|タイ バンコクの求人を探すなら【カモメアジア転職】
自動車メーカーとの事業拡大のための営業を担っていただきます。
【求めている人物像】自動車メーカーのトップに対しての提案ができる方。日系マーケットの拡大のため大きな絵を描くことができ、実行力のある方。
【給与】10万バーツ~20万バーツ程度まで(経験に応じてご相談をさせていただきます)
【タイ】Japanese Sales&Marketing Managerの求人(仲介募集)|タイ サムットプラカンの求人を探すなら【カモメアジア転職】
まず、もし自分が数%でもこの求人に受かる可能性があると思えば、是非応募してほしい。仮に落ちたとしても今の自分自身のスキル・経験と、月収20万バーツの求人に受かるためのスキル・経験との差が分かるかもしれない。
このような求人案件に受かるためには、 豊富な経験と幅広い人脈が必要となるであろう。しかしながら、専門資格が必要とされるわけではなく、社長ポジションでもない求人に対して、月収20万バーツの求人案件があることは、現地採用のキャリアを考える上で朗報である。また、現在、海外就職を検討している方には知っておいて欲しい事実である。
ここ数年、タイ人向けの月収20万バーツの求人も出ている。日本から駐在員を送るコストを考えれば、日本人駐在員の代わりを務めることができるタイ人に20万バーツの給与を支払ったとしても十分割に合うのである。これは、日本人の現地採用にも当てはまる理屈である。
✎現地採用希望者の高スペック化
タイにおいて高待遇の現地採用の求人案件が増えてきたが、それと同時に現地採用希望者が高スペック化しているという事実は見逃せない。すなわち、高待遇の求人案件が増えているといっても、そこに受かるハードルは決して低くない。
かつてはタイに現地採用として就職しようとする者は、日本社会からはみ出たアウトローであったり、タイで起業して一山当てようという野心家など、ひと癖ふた癖ある人物が珍しくなかった。
そういった野心のある山師のような日本人が多くいた時代は過ぎ去り、現在は自分自身のキャリア戦略の一環として海外で現地採用として働こうとする若手が増えている。
「いい意味でも悪い意味でも、行儀よくまとまったサラリーマン志向の現地採用希望者が増えてますね」
長年、タイで働く人材会社の社員がそのように語っていたのが印象的である。
また、タイ人との結婚により、タイに住むことが最優先のタイ就職は、今も昔も一定数ある。しかし最近は、「アメリカ留学中に出会ったタイ人と結婚。タイでキャリアを築くのも有望と思い、タイに移住」そういったケースが目につく。
「バックパッカーとしてタイを放浪中に出会った夜の仕事をしているタイ人と結婚」というケースは、今はあまり聞かなくなっている。
かつてのタイの現地採用といえば「タイの夜遊びが好きでバンコクに住みたいだけ」といったイメージを持つ人も多かった。しかし、それは過去のものになりつつある。
もちろん、夜遊びが好きでタイに現地採用として就職する人もいる。男性にとっても女性にとっても、バンコクの夜は刺激に溢れている。もし、タイに若いうちに住むことが決まったのであれば、仕事に影響しない範囲で、精一杯遊ぶこともQuality of Lifeを上げるための有効な戦略である。
✎駐在員と現地採用の境界線の揺らぎ
一般的に、「駐在員は待遇が非常に良いが、数年の任期で帰国する。一方、現地採用は任期がない代わりにその国に好きなだけ居ることができる」と説明される。
しかしながらこれはステレオタイプであり、実際は単純に区別できるものではない。
大手企業であれば駐在期間は一般的に4年あるいは5年など、少なくとも一定の期間で区切られている。しかしながら、中小企業あるいは中堅企業においては、10年あるいは20年と駐在している方も少なくない。ここまでいくと、むしろほとんどの現地採用よりも在タイ期間が長い。
また現地採用であっても給与が15万バーツあるいは20万バーツと、高待遇を得る者も出てきている。先ほど、タイ人に20万バーツを払う例を挙げだが、タイ人もある意味では現地採用である。高待遇で優秀な人を迎えるのは、ビジネスにおいて合理的な判断である。繰り返すが、同様の理屈は日本人の現地採用にもあてはまる。
もちろん現地採用より駐在員の方が待遇が恵まれていることは言うまでもない。しかしながら、自身がこの国に数年間あるいは十数年間、根ざすつもりでスキルや経験を積んでいけば、かなりの高待遇に辿りつく道があることは事実である。
また、今回の記事では省略したが、現地採用から駐在員への道は、大手企業では狭き門でも、中小〜中堅企業では珍しくない。
もちろん、それには戦略的な意思決定や取捨選択が必要であろう。今後ともこのブログにて、微力ながら、皆様がキャリアを築くにあたってのヒントになるような記事を書いていきたいと思う。
✎今後のタイにおけるビジネスパーソンの役割
補足ながら、タイのビジネスパーソンが将来的に求められるであろう「ASEAN全域でのビジネス」について述べたい。
現在、タイの経済成長率はおよそ3〜4%であり、それが今後も続いていくと見込まれている。6〜7%の経済成長が続いていくカンボジア・ミャンマー・ベトナム・ラオスなど、他のASEANの国々と比べれば大きく見劣りがする。
しかしながら、タイという国で日系企業は、数十年の時間をかけて産業集積を築いてきた。このタイの優位性は今後も消えることはない。タイのマーケットが低調であるがゆえに、タイの製品を経済が好調である周辺国に輸出するなど、タイを基軸としたビジネスはますます盛んになる。
今後、タイで働くビジネスパーソンは、 ASEANの中のタイで働いているという意識を持つ必要がある。ビジネスの領域をタイのみではなく、ASEANあるいはアジア全域として、広い視野にてビジネスを組み立てることができる人材を企業は求め始めている。
そして将来、ASEAN全域を管轄できる人材には30万バーツ、あるいはインド含めたアジア全域を管轄できる人間には40万バーツを払う時代が来るであろう。いや、もう来ているのかもしれない。
✎おわりに
現在、私自身は15万バーツの壁を超えるまであと一歩(2〜3年)というところである。残念ながら、まだ20万バーツの壁を越えるイメージは描けていない。
私のブログを読んだ方が、現地採用として高待遇を得る、あるいは駐在員待遇となるなど、金銭的な成功を得ることができれば嬉しい。
私自身も上昇志向を持ってチャレンジしていきたい。