鼻が折れると鼻血が出る

鈍器で顔を殴れば鼻は折れるし、誰かのために行動すれば社会は変わる。仕事も執筆も想いを込めて、存在を証明。

現地採用のタイ移住の部屋探しにおける6つのポイント

 

 この記事は単身の現地採用者を前提に書かれている。しかし、タイにおける退去時の現状回復義務の考え方など、駐在員や家族連れにとっても有用な情報も一部含まれる。


✎(1)家賃の予算 〜海外移住は安全と安心を金で買う〜

結論:手取りの1/4が標準的。ただし、女性は1.5万バーツ以上を予算としたい

 

 日本の場合、家賃は手取りの1/3が一つの目安とされるが、タイの場合は手取りに占める家賃比率が日本(特に首都圏)に比べて低くなる。手取りが6万〜7万バーツの現地採用の家賃は1万バーツ代半ばから後半が標準的である。

 手取りが8万〜10万バーツに昇給した現地採用者は、2万バーツ代の物件に引っ越す者と、以前の1万バーツ代の物件に住み続ける者に別れる。

 家賃は固定費である。経済的なセオリーから考えると、固定費はできる限り抑えるべきである。しかし、私は以下の2つの理由からタイ移住の際には、家賃を安く抑えることを優先すべきでないと考える。

①住居に関するストレス

 タイのコンドミニアム(アパートなど含む)は一見豪華に見えても造りは安普請である。ドアの建付けや水回りなど、どこかしら、年に1回以上は修繕の必要がある。新築、浅築であってもである。

 修繕が必要になった場合は、レセプションを通じて修繕の手配の依頼をするが、スムーズにいくケースは少ない。

 依頼した時間に業者が来なかったり、依頼した時間に来なかったことを文句を言っても、まともに取り合ってもらえなかったり、ストレスがかかる場面も多い。

 やはり賃料とサービスの質はある程度比例する。賃料が高くなるにつれ、レセプションスタッフのサービスの質は上がる。また、ペストコントロール(害虫駆除)や共有施設の清掃も同様である。

 以前、給湯器が壊れ、シャワーの際にお湯が使えないことがあった。土曜に修理屋が来る予定が、なぜか来なかった。日曜に再度、修理の依頼をすると「日曜は修理の対応をしておらず、月曜から土曜の10時〜17時までが対応時間だ」とのこと。

 結局、月曜から金曜までシャワーは水しか使えなかった。仕事が辛い時期とたまたま重なり、正直、タイ生活が少し嫌になった。

 残念ながらこの手のトラブルは、家賃の多寡に関わらず、起きる時は起きる。しかし、家賃の高い物件の方がトラブルが起きる頻度が少なく、トラブルが起きたときのリカバリーがスムーズである。

 タイ語あるいは英語で交渉、さらには説得を行う能力に自信がなければ、快適さを金で買うと思って、格安物件(1万バーツ以下)は避けた方が良い。
 
②親との関係

 下らないと思うなかれ。親世代は保守的な人も多い。「タイ!?東南アジアの後進国※で働くなんて!」という人もいる。そこまで極端な反応ではなくとも、日本よりも治安の悪い国で自分の子供が働くことを心配しない親はいない。

 セキュリティのしっかりした高層マンションに住んでいれば、親の不安もいくらかは和らぐはずである。

 また、子供を訪ねてタイに来ることもあるであろう。その際、駅から暗い道を歩いて帰らなければ自宅に着かない立地だったり、古びた住居であれば、きっと我が子を心配するであろう。あなたが筋肉隆々の男性であっても、やはり心配するのだ。親とはそういうものである。

 タイで安全に快適に暮らしているというアピールに、ちょっと背伸びした物件に住むのも親孝行ではないだろうか。

 アピールといっても、実際に安い物件にはそれなりに理由があり、苦労がともなう。

 先日の記事で紹介した物件は、一見すると非常に良さそうに見える。しかし、コンドミニアム内の案内はタイ語のみであったり、駅近とはいえ、夜は街灯のない暗い道を通る。

スティサン駅から3〜4分ほど歩くと1.1万バーツ(3万円台後半)の物件さえある。
https://www.local-staff.work/entry/2019/06/28/182308

 主張はさきほどの①と被るが、初めてタイに住む場合、やはり「ここだったら、なんとか住めそう」ではなく、「ここなら、快適に住めるはず!」と思える物件を選ぶべきである。

 ※なお、正確には後進国ではなく発展途上国という。さらにタイは発展途上国ではなく中進国に分類される。

 

✎(2)物件の種類と特徴を把握しよう

結論:タイ移住の最初の住居はコンドミニアムがお薦め

 

 タイにおける外国人の住居は通常、①サービスアパート、②アパート、③コンドミニアムの3種類である。定義や特徴を説明しつつ、検討をしていく。

 実はタイに長年在住していても、各々の定義や特徴を知らない人も多い。知らなくても大丈夫とはいえ、知っているとトラブルの際に役に立つこともあるであろう。

①サービスアパート

 建物全体をオーナーが所有しており、ルームクリーニングなどのサービスが充実している。

 日本でアパートというと「木造や軽量鉄骨造などの2階、または3階建て以下の共同住宅」と定義される。ボロいのがアパート、立派なのがマンションというのが日本での認識であろう。しかし、タイの場合は定義が全く異なる。

 サービスアパートメントは現地採用の住居探しにおいて、候補から外れてくる。充実したサービスの分、割高で、家賃は3万バーツ以上が相場であるからだ。サービスアパートメントは独身の大手企業の駐在員が住むケースがほとんどである。

 例外的に2万バーツ前後のサービスアパートメントもあるが、立地が悪い。また、そもそも格安サービスアパートメント自体が非常に少ない。

②アパート

 アパートとは、建物全体をオーナーが所有しているが、毎日のルームクリーニングなどはついていない物件を指す。

 あくまで一般論であるが、建物の規模は、3〜10階建てと中規模で、プールやフィトネスジムなどの共有施設は、後述のコンドミニアムと比べるとやや劣る。駅から少し離れたところにひっそり立っている物件が多い。

 一方で、オーナーがアパート全体を責任を持って運営する立場にあるため、入居者へのサポートは(ある程度)信頼できる。空室率を減らすためにレピュテーション(信頼)を高める努力をしているからだ。退去時の保証金の返還も誠実に行う傾向にある。
 まれにタイに慣れた現地採用が2万バーツ前後のアパートに住んでいることがある。豪華なコンドミニアムのファシリティーも広々とした部屋も結局は必要ないとの判断にいたり、アパートに落ち着くのだ。

③コンドミニアム

 縦(高さ)にも横(敷地面積)にもでかいマンションはたいていコンドミニアムである。ほとんどの現地採用がコンドミニアムに住んでいる。

 コンドミニアムの定義は各部屋が区分所有された集合住宅である。すなわち、各部屋ごとにオーナーがいる。各オーナーが自己の裁量で賃料を設定し、部屋を賃貸に出している。

 家賃が1.5万バーツ以上の物件であれば、プール、フィットネスジム、勉強や読書のできるライブラリー、ビリヤードなどの娯楽ルームと、豊富なファシリティーを備えているコンドミニアムも少なくない。小規模なコンドミニアムももちろんあるが、日本人が候補として選ぶコンドミニアムは、豊富なファシリティーを持つ物件であろう。

 テレビ番組で「タイでは4〜5万円で高級マンションに住める」と紹介されることがあるが、その物件のタイプはコンドミニアムである。

 実際に住んでみると豪華なファシリティーはあまり使わないし、高層階に住んでも夜景を見ることはあまりない。それが現実なのだが、とりあえず住み始めはテンションが上がる。また、親や友人が日本から来たときは、改めて良い住環境だなと胸を張れる。 

 外国人への対応ができて、かつ好立地の条件で部屋を探すと、コンドミニアムの方が物件数が多くなる。コンドミニアムとアパートの違いを意識しなくても、現地採用が部屋を探すと、たいていの場合、コンドミニアムに住むことになる。

 せっかくの海外生活である。ドンと豪華なとこに住んでみてはいかがだろうか。日本では20万円はしそうな物件に、5万円程度で住めてしまうのは、タイ移住の1つの魅力である。

 

✎(3)物件の探し方 〜エージェントの利用がベター

結論:まずは2週間〜1ヶ月ホテル暮らしをしつつ、不動産エージェントを使って物件を探す

 

①私のかつての部屋の探し方(悪い例)

 まず会社の近くのボロホテル(9,500バーツ/月)に滞在。日本から彼女が来て、タイに一ヶ月滞在する直前にコンドミニアムを探し始める。

 探し始めたのが彼女がタイに来る3日前。住みたいと思っていたエリアの駅近物件にアポ無しで訪問。レセプションスタッフに頼んで部屋を見せてもらう。3部屋見せてもらい、インテリアが気に入った部屋に決定。

 3日後、改めてコンドミニアムを訪問し、家賃3ヶ月分(前払い家賃1ヶ月+保証金2ヶ月)を現金で払い、即日入居した。

 まず1つ言えるのは、タイのコンドミニアムやアパートは、審査がないため、即日でも入居可能な物件もある。就業の有無、職業、年収、資産など、日本と違い原則として問われることはない。

 一方で、 やはりじっくり選んだほうが納得の行く物件にお得に入れる。

 私はレセプションから提示された部屋(42平米、1.7万バーツ)は3種類で金額はいずれも同じであった。しかし、入居後にネットで物件情報を見てみると、空き部屋は20〜30ほどあった。さらに、同じ面積で値段がもっと安い部屋もあれば、同じ値段で、よりインテリアが豪華なところもあった。

 また、タイのコンドミニアムはほとんどの物件で、家賃値引きや家具のグレードアップなどの交渉ができる。しかし、私はそういった交渉は、一切行わなかった。交渉できることを知らなかったし、時間もなかった。

②住みたいエリアでホテル暮らしをする

 タイは安くて快適なホテルが多い。まずは、部屋を契約する前に、2週間〜1ヶ月ほどのホテル暮らしお勧めしたい。

 私自身は下調べをほとんどせずに早急に決めてしまったが、やはりじっくりと周辺地域は知っておきたい。

 スーパーや飲食店の位置はネットで調べればすぐであるが、渋滞状況や夜道の暗さなど、そのエリアで暮らしてみることで分かる情報も多い。交通量の多い道を信号機無しで渡らなければならない道があるなど、地図やネットからでは分からない情報もある。

③仲介業者は使うべき

 前述の通り私は不動産エージェントを使わずに、直にコンドミニアムを訪ねた。すべて自分でやった。

 しかしながら、不動産エージェントは使った方がいい。効率よく物件をまわれるし、その物件や地域特有の情報を得ることができる。

 例えば、「雨季にはこの道路が冠水する」などの情報は、不動産エージェントには当たり前の情報でも、私達が気づくのは困難である。

 賃貸契約書は英語で十数ページあるであろう。おそらく、全文読む人はなかなかいないであろう。不動産エージェントにチェックしてもらえば一安心である。もちろん、可能な限り自分で読んたほうが良いが。

 退去の際の保証金返還に関して、大家との間に入ってくれることも不動産エージェントを使う大きなメリットである。英語またはタイ語で、議論(言い合い)するのはかなり困難である。

 私は、英語の契約書を全文読んだ。また、退去の際には、「借り主が負担すべきなのは故意の破損であって、自然に使っていて経年劣化した部分については、オーナーも負担してもらえないか?」などの議論をした。

 めんどくさいトラブルが大好きな物好き以外は、素直に不動産エージェントを使うべきである。

 なお、不動産エージェントを通さずにオーナーと直接契約をすれば、賃料が安くなるのではないかと思う方もいるであろう。タイの不動産仲介サイトは英語対応しているものもあるし、コンドミニアムのロビーにはレンタルの受付がある。よって、不動産エージェントを通さないことは不可能ではない。

 オーナーは不動産エージェントに賃料の一ヶ月分を謝礼として払う。したがって、直接オーナーと契約すれば、ディスカウント交渉の余地がありそうである。

 しかし、よぼど交渉が上手い人以外は、オーナーと直接契約しても、不動産エージェントを通しても同じ金額に落ち着いているようだ。

④直接契約で賃料のディスカウントは可能か

 日系不動産エージェントの提示の賃料と、タイのローカルサイトに記載の賃料に差はあるのだろうか。Nayoo不動産というバンコクで日本人が立ち上げた日系不動産仲介業者のホームページとDD propertyというタイの不動産仲介サイトを比べてみた。

 まずThe Link Sukhumvit 50という、4階の35平米、2009年築、最寄り駅がBTS Onnut 駅の物件を見てみる。Nayoo不動産では、賃料が13,000バーツである。一方、DD propertyでは、35平米の部屋は9件登録されており、12,000場合が1件、15,000バーツが6件、15,500バーツが2件となっている。

 次にRegent Home Sukhumvit 81という、7階の28平米、2018年築、最寄り駅がBTS Onnut 駅の物件を見てみる。Nayoo不動産では、賃料が日本人限定で、10,000バーツとなっている。DD propertyでは、なんと同サイズの部屋が588件登録されている(本当にそんなにあるんだろうか?)。

 ざっとサイトを見ていくと、9,000バーツが数件あり、10,000バーツ〜13,000バーツがメインの価格帯。中央値は12,000バーツくらいである。

 どちらの物件も低層階かどうか、家具が良いものかなど、条件が同じでないため、一律に比べることはできない。しかしながら、不動産エージェントを使うほうが割高に借りるリスクは回避できそうである。

 他にもいくつか物件を見てみた。不動産エージェントの提示価格は、最安値ではないが、相場のほんの少し安め〜平均値という金額が多かった。

④どこの不動産エージェントが良いか

 まず日本の大手不動産エージェントのタイ現地法人は、取扱い物件を3万バーツあるいは4万バーツ以上に設定している。現地採用でこの金額の家賃の物件を借りる者は稀であろう。

 タイは日本と違いオーナー側からのみ仲介手数料を受領する。日本だと仲介手数料を入居者から1ヶ月、オーナー側からも1ヶ月もらえることが通常である。 地域によっては、広島など、礼金が不動産エージェントに入る地域もある。

 タイの不動産仲介業は、オーナー側からのみ1ヶ月の家賃を手数料として受け取れるのみである。一方で、仕事の手間は日本以上にかかる。渋滞により、部屋を回るのに時間がかかったり、タイ人オーナーと日本人入居者の間に挟まれ、無理難題に悩まされることもある。

 現地採用が不動産エージェントを利用する場合、3種類のケースが考えられる。

ⅰ)入居者(借り主)からも紹介手数料を取る日系不動産エージェント

 全くお勧めしないが、説明のみ。

 例えば某日系不動産エージェントは、原則は4万バーツ以上の物件を駐在員向けに取り扱っている。

 しかし、依頼があれば4万バーツ以下の物件も取り扱う。その場合、懐に入る仲介手数料が4万バーツになるように不足分を入居者から徴収するのだ。例えば、3万バーツの物件ならば、オーナーから入る仲介手数料が3万バーツなので、残りの1万バーツを入居者から徴収する。

ⅱ)駐在員向け物件の紹介実績がある会社の現地採用にのみ対応する日系不動産エージェント

 日本人駐在員の数が多いタイ現地法人の場合、たいていのは親しくしている日系不動産エージェントがある。前述の通り、多くの日本の大手不動産エージェントのタイ現地法人は、通常は3万あるいは4万バーツ以上の物件しか扱わないが、「普段、駐在員の物件紹介の仕事をもらっている会社にのみ、現地採用の物件探しも賃料の下限なく手伝う」というスタンスの会社がある。

 普段の付き合い(駐在員向けの物件紹介)があるため、手数料が安いからと言って露骨に手を抜かれることはない。会社名を挙げるのは控えるが、こういったサービスの質が安定している日系の大手不動産エージェントを使えば安心感がある。

ⅲ)1~2万バーツの物件紹介を得意とする不動産エージェント

 日本人がタイで立ち上げた不動産エージェントは家賃が1万〜2万バーツのものでも取り扱っているところが多い。

 前述の通り、私は不動産エージェントを使ったことがない。また、タイの日系企業のコミュニティーは狭く、不動産エージェントの不手際や悪評は色々きくが、「ここが素晴らしい」という評判はほとんど聞かない。

 クレームは人に話すが満足した経験はあまり人に話さないからであろう。さらに、トラブルなく仲介業務をエージェントが終えた場合、それは良い仕事と言えるものの、利用者(入居者)からすればトラブルなく終えるのは当たり前であり、ことさら高評価をしないからである。悲しい話である。様々な予想外のトラブルが多々起きるタイで、「日本のようにスムーズにつつがなく“普通の”サービスを提供する」ということは、かなり困難な挑戦であるというのに。

 現地採用の物件探しにおいて、知人からよく名前を聞くのが、前述のNayoo不動産である。とりあえず悪評は聞かないため、もし自分が将来的に不動産エージェントに依頼するとしたら、ここにすると思う。なお、現時点では一切面識はない。

 最近はバンコクマネージメントサービス株式会社(商号:プラカノンハウジング、バンナーハウジングなど)が気になっている。3万バーツ以下の快適なお部屋を多数紹介と謳っており、日本人現地採用を顧客として狙っているようである。Facebookの広告で名前を知った会社なのだが、YouTubeで物件の情報を配信している。動画の編集もしっかしており、かなり見やすい。そして、物件紹介をしているNasiさんが超かわいい。 

 バンコクマネージメントサービス社の社員がタイ語で物件を説明し、Nasiさんが日本語翻訳をするという形式であるので、タイ語の勉強にもなる動画である。

タイバンコク不動産(賃貸)Nayoo~住みたいをお届け~

バンコクの賃貸・不動産情報 | プラカノンハウジング | バンコクの賃貸不動産、コンドミニアム、マンションなど、常に最新の情報を公開。バンコクでも近年注目されているプラカノン・オンヌット・エカマイエリアを中心に賃貸の不動産情報をご紹介します。

 上記2社はお勧めというわけではなく、現地採用者が利用可能な不動産エージェントの例として挙げたのみであることは、改めて申し上げておく。もっとも、Nasiさんの動画はお勧めである。ぜひご覧いただきたい。

●Nasiさんのチャンネル

www.youtube.com


✎(4)立地および物件の見方

結論:BTS駅近の浅築物件に住む

 

 どこのエリアに住めばいいかは、オフィスの場所や社用車の有無によって変わってくる。単身で特にこだわりがなければ、BTSのプロンポン駅、エカマイ駅、トンロー駅、プラカノン駅、オンヌット駅あたりで予算内の駅近物件を選べば無難である。なお、トンローは駅近よりも北に少し進んだあたりが栄えており、例外的に駅近よりもソイ(タイ語で道の意味)の奥が人気がある。

 雨季に道路が冠水するか、野犬がうろついていないかなど、バンコク独自のポイントもある。しかしながら、「昼だけでなく夜にも付近を見て回る」、「日系スーパーやコンビニが行きやすい距離にあるか」など日本の物件探しとポイントは変わらない。私自身、なんとなく日本人が多いスクンビットエリアが嫌いで、マイナーなエリアに地域に住んでいるが。

 物件そのものについては、「共有設備のメンテナンス」、「ちゃんとペストコントロール(害虫駆除)ができているか」、「水まわりの漏れや排水溝のにおい」、「トイレ、シャワー等の水圧がピーク時でも安定しているか」など住んでみないと詳細は分からない重要事項も多い。不動産仲介会社も詳細な情報を持っていない物件も多い。

 一般的に物件が老朽化するほど問題が頻出してくるので、浅築の物件を選ぶのが無難である。なお、タイの場合、新築物件は「作ってみたら色々問題があった」というケースが少なくない。できて1~2年ほどした物件の方が「作ってみたら起こってしまった問題に対処し終わっている」という状態で、トラブルが少ないというケースもよく聞く。よって新築にこだわる必要は特にない。

 一部の不動産仲介サイトにて、「物件内のレセプションスタッフの日本語対応可否」がチェックポイントに挙げられている。しかし、1万バーツ~2万バーツ代の物件では、日本語対応は諦めたほうが良い。

 

✎(5)審査、初期費用、入居までの期間

結論:審査は無し、即日入居可の物件も。入居時には家賃3ヶ月分を一括支払い

 

①審査
 入居にあたっての審査は存在しない。「保証人は必要ない」、「職の有無や年収は一切問われない」、「外国人だからといって拒否されることはない」など日本とは対照的である。

②初期費用

 ほとんどの物件は前払い家賃1ヶ月分と、家賃2ヶ月分の保証金、すなわち計3ヶ月分の家賃が初期費用となる。なお、オーナーが5件以上の賃貸物件を持つ場合には、保証金は家賃の1ヶ月以下と法で定められているが、守っているオーナーはあまりいない。

③入居までの期間

 オーナーと入居人(あなた)が契約書にサインをし、初期費用を支払えば即日でも入居が可能である。しかしながら、実際は手続きがスムーズに進まないケースも想定されるため、入居の1〜2週間前にはオーナーに入居の意志を伝えるくらいの段取りで準備を進めたい。


✎(6)入居時の注意

結論:退去の際に想定外の(理不尽な)費用が発生しないよう契約書をよく読む

 

①契約書の備品リストと部屋にある備品が整合しているか

 私のケースであるが、入居時に車のステッカーを受け取っていなかったものの、契約書の備品リスト(引き渡しリスト)に車のステッカーの記載があった。退去時に、受け取ってないと主張したが、証明できるわけもなく、紛失の罰金を支払った。他にも、「受け取ったけ?」という備品が2~3点。

 当たり前のことであるが、契約書にサインをする際には、契約書は読まなければらない。受け取ってないものがあるにもかかわらず、受け取ったとしてサインをしたのは完全に私の過失であった。

②修繕費(メンテナンス)の費用負担はどうなるか

 契約には借主負担と書かれているが、実際はオーナーが払ってくれるケースも。契約書ではどうなっているのか、そしてオーナーの意向はどうなのかの双方を確認する必要がある。定期的なエアコンのクリーニングなど、オーナー負担でやってくれる部屋とそうでない部屋がある。

③退去費用

 退去時の原状回復義務について、契約書にどのように書かれているのかは必ず確認すべきである。繰り返しになるが、契約書は非常に長く、読むのがめんそうであるが、原状回復義務の項目だけは絶対に読むべきである。

 良心的な契約書であれば、故意または重大な過失によって生じた損害のみを借主は負担すると書かれている。しかし、「退去する借主は、新しい借主がただちに入居できる状態にして、物件をオーナーに引き渡さなければならない。部屋の修繕費はすべて借主負担」と書かれている契約書もある。このような契約書の場合、オーナーは実質的にいくらでも借主に請求できることになる。壁紙を張り替え、コンロやベットを新調し、バスルームを補修すれば、家賃の1~2ヵ月分などすぐに飛んでしまう。

 実際、私が一番最初に借りたコンドミニアムの契約書は「部屋の修繕費は、いかなる劣化もすべて借主負担」のものであり、オーナーとはかなり交渉したが、家賃の一ヶ月分以上の費用をもっていかれた。そもそも、いくら議論をしてもオーナーがデポジット2ヶ月分を持っているので、あまり意味がない。われわれ外国人がタイで家賃1~2ヶ月分のために法的な手段に訴えるのは現実的ではない。結局はオーナーの言い値で、退去費用が決定してしまう。

 日本では、借主が退去する時の原状回復義務は、「通常の使用により発生した経年劣化などの損傷は借主は負担する必要なし」となっている。借主の無知に付け込み、あるいは自身に正しい知識がなく、過剰請求のケースもあるが、ある程度この認識が広まっている。残念ながら、タイでは過剰請求を防止するために事前に契約書をチェックしたりオーナーに確認したりして、自己防衛をする必要がある。 


✎おわりに

 先日、出張の際に泊まるホテルについて上司と相談した。朝早くから夜遅くまでアポイントが入っており、ホテルでは寝るだけである。そうであれば、高級なホテルに泊まる必要はないと思い、相談をした。すると以下の回答が返ってきた。

 朝から晩まで精いっぱい仕事するからこそ、いいホテルに泊まるんだ

 この意見が正しいかというと、全肯定はしかねるが、一片の真理はあるかもしれない。たしかに、深夜まで働いて、部屋に帰ってきて、シャワーが水しか出なかった際はかなり精神的に辛かった。

  さて、この記事があなたの部屋探しの役に少しでも立てば本望である。みなさまが、夜、ゆっくり快適に眠れますように。